designer : Hideki Takamatsu

吉祥寺駅と荻窪駅の中間に位置する、閑静な住宅地の一角に建てられた二世帯住宅である。
建主は高齢のご夫婦で、計画地から2軒先にある長年住み慣れた住まいで暮らしてきたが、「終の住処」として新たな場で娘さん家族と共に生活することを決められた。今回設計へ求められたことは、この先の老介護に対応できるような間取り、床の段差をフラットとする、1階と2階の玄関は完全に分けるが内部で行き来ができるようにする、庭の植栽を一切なくす、防犯上雨戸は必ず付けてほしいなどであった。話し合いを重ね、配置計画は隣地に廃屋があったことでそれがなるべく目に触れないようにすることや１階への日当たりを考慮し、オーソドックスな北寄せの配置とした。ご要望に対して、1階は引き込み式の建具を多用してフレキシブルな使い方ができると同時にどの位置からも常に視線が行き届くよう配慮し、前面道路からの長い緩やかなスロープ、庭に敷き込んだデッキまで室内と完全にフラットにすることで視覚的にも広がりを感じさせるプランとした。また建築ボリュームは法規制の中で最大限の計画としたが、庇やバルコニーの形状、レッドシダー材による色面の切り替えなど、単調で無表情な箱に映らないよう印象的なデザインを試みた。

所在地　：　東京都武蔵野市
用　途　：　専用住宅　二世帯住宅
設　計　：　高松秀樹
施　工　：　有限会社東京理研ホーム
撮　影　：　遠藤淳一